半月板損傷を疑った際の膝関節裂隙の圧痛
今回は「半月板損傷を疑った際の膝関節裂隙の圧痛」に関して解説します。
「スペシャルテストではない」
と感じるかもしれませんが、
【圧痛】
も立派な所見の1つです。
問診やそのほかの所見から、
「あれ?もしかしたら半月板を傷めているかも」
と疑った場合、関節裂隙の圧痛はどんな意味を持ってくるのでしょうか。
これを知っていると知らないとでは、評価に大きく影響してきます。
(1)名称
Joint Line Tenderness(JLT)
関節線の圧痛という意味ですね。
(2)概要と目的
大腿骨と脛骨の溝の部分に圧痛があるかを調べます。
触診の正確さが問われます。
目的は勿論、半月板の損傷を調べることです。
(3)スタートポジション
・選手を仰向けにさせる
・選手の膝関節を90°屈曲位にさせる
・下腿を内旋、外旋させることで、より脛骨のプラトー部分を強調できる。
(4)アクション
・関節裂隙を母指で押していき、圧痛を検出する
・健側と患側を比べる
(左の写真が内側、右が外側)


(5)陽性反応
疼痛が再現される場合に陽性とします。
当然ですが、MCL上やLCL上に圧痛が有った場合は、ストレステストなどと併用して評価する必要があります。
(6)テスト法の信頼度
【内側裂隙を押したとき】
・感度:85%
・特異度:67%
【外側裂隙を押したとき】
・感度:92%
・特異度:97%
※以上のデータから考えると、
「外側半月板損傷」に関しては、関節裂隙の圧痛の有無が評価の大きな判断材料に成りえる
ということがわかりますね。
内側に関しても感度はかなり高めなので、圧痛がなかった場合は半月板損傷の可能性が下がるかもしれません。
(7)現場での実際
【圧痛】は評価の基本です。
特に運動器の傷害の場合は基本中の基本です。
ですが、正確に圧痛を調べるには、正確な触診が出来なければいけません。
正確な触診のためには、解剖の知識が十分にないといけません。
その点を考えても、圧痛をしっかりと検出できることは重要です。
そして半月板損傷を疑った時に、関節裂隙に圧痛が存在しているかどうかを調べる事で、
可能性を判断できることを知っている学生トレーナーはそれほど多くありません。
しかも、それが実は
「未熟な技術で行うスペシャルテストなんかより、よっぽど重要」
と認識している人はさらに少ないはずです。
というワケで、かなり使える所見なので頭に叩き込んでおきましょう!!
(8)動画
※動画では座位で行っています。
(9)参考書籍
準備中