トーマステスト(股関節)
今回解説するのは「トーマステスト」です。
スタンダードな方法から、別法までいくつかのバリエーションがありますが、基本的にはシンプルで使いやすいテストです。
特定の傷害を疑うためのものではなくて、股関節の状態を見極めるためのものなので、
結果からさらに病態を推測する必要があります。
そういった意味では、難易度の高いテスト法といえるかもしれません。
(1)名称
「トーマステスト」
(2)概要と目的
股関節の屈曲拘縮の有無を見極めるためのテスト法です。
股関節の屈曲拘縮が存在していると、様々な代償姿勢を誘発し、腰痛を代表とする障害に発展しやすくなります。
また「拘縮」というと高齢に多いイメージを持ちますが、単純に筋が硬くなるとことでも類似の状態は出来てしまうため、すべての年代に重要な考えです。
トーマステストでは、いくつかのバリエーションがあり、
そのバリエーションによって、どの筋が主要な原因筋かを特定できるようになっています。
(3)スタートポジション
・選手はベッド上で仰向けになります
・体がまっすぐになるように、左右の上前腸骨棘を結んだ線が、体の正中軸と直角になるようにします
この時、腰が反っていないかチェックしましょう。
※別法では、下腿をベッドの外に出す。
(4)アクション
・トレーナーが片方ずつ股関節を屈曲して、最大屈曲位までもっていく
・健側と比較する
(5)陽性反応
・股関節を屈曲していった方と逆の大腿がベッドより浮き上がったら陽性です。
この場合は「浮き上がった側の腸腰筋」がタイトになっている可能性を考えます。
また、そのほかの理由で股関節の屈曲拘縮が起きている場合も陽性となります。
※別法では、ベッドから出した下腿が伸びてきたら(膝が伸展してきたら)それも陽性と判断します。
この場合は「膝が伸展した側の大腿直筋」がタイトになっている可能性を考えます。
※また、別法では、股関節が外旋し、膝が外を向いても陽性とします。
この場合は「外旋した側の縫工筋」がタイトになっている可能性を考えます。
(6)テスト法の信頼度
この検査と陽性時の推測が相関していることを示す有益な文献は特に見当たりませんでした。
(7)現場での実際
信頼度の項目で「文献的な信頼度」は不明としていますが、トーマステストは股関節周囲のトラブルの場合はかなり頻繁に使うテスト法です。
ほぼ同じ動作をしてもらうだけで、複数の筋の柔軟性を調べることができるので便利です。
ただし、この結果が陽性でも、筋が由来の拘縮ではない場合も存在するので、そこは触診なども組み合わせていくことが大切です。
また、この結果が「陽性=何かの怪我」というワケではなく、ここから推測していく力が必要になります
(8)動画
(9)参考書籍
準備中